通所介護事業(デイサービス事業)
居宅要介護者について、特別養護老人ホーム、老人デイサービスその他の厚生労働省令で定める施設に通わせ、当該施設において入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話であって厚生労働省令で定めるものおよび機能訓練を行います。
通所介護は一般的にデイサービスとも言われています。介護が必要な方をデイサービスセンターに送迎し、機能訓練や日常生活訓練等のサービスを提供します。
通所介護事業(デイサービス事業)は、比較的自由度も高く、プログラムやレクリエーション、施設サービス等によってデイ独自の個性を出し、他の事業所との差別化をしやすい面があります。古民家を改装した小規模デイサービスや、整骨院や鍼灸院が機能訓練特化型の介護サービスを開業するなど、各事業所の特徴は様々です。
また、事業を始めるにあたって施設の改築・新築や福祉用具の準備等、初期費用はかかりますが、利用者の需要が非常に高いサービスであり、更に、軌道に乗れば安定的な収入が見込めるため、2軒目、3軒目と事業所を増やしているところもあります。
通所介護事業(デイサービス事業)の指定をうけるための要件
通所介護事業(デイサービス事業)を行うためには、事業者としての指定を受ける必要があります。
要件1:申請者が法人格を有ること
個人では事業所の指定を受けることはできません。申請を受けるためには申請者様が、株式会社、合同会社、社会福祉法人、NPO法人等の法人格を有していることが必要です。すでに法人格をお持ちの場合でも、定款の事業目的に事業内容の記載がない場合は定款の事業目的を変更する手続きが必要になります。
要件2:人員基準をみたしていること
通所介護事業(デイサービス事業)の事業者としての指定を受けるためには、以下の人員基準を満たしていることが必要です。
職 種 | 資格要件 | 配置基準 |
管理者 | なし | 常勤専従1名 |
生活相談員 | 社会福祉士 精神保健福祉士 介護福祉士 社会福祉主事 |
専従1名以上 |
看護職員 | 看護師、准看護師 | 1名以上(提供時間帯を通じて専従する必要はないが、提供時間帯を通じて事業所と密接かつ適切な連携を図るもの) ※利用定員が10名以下の場合、置かないことができる |
介護職員 | なし | 1名以上(利用者数が15人までは1名以上、15を超える場合は、5で除して得た数に1を加えた数以上) |
機能訓練指導員 | 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、看護師、准看護師、柔道整復師、あん摩マッサージ指圧師 | 1名以上 |
要件3:設備基準をみたしていること
通所介護事業(デイサービス事業)の事業者としての指定を受けるためには、以下の設備基準を満たしていることが必要です。
【事務室】
広さの規定はありませんが、机や書庫などの備品が収容できる程度の広さは必要です。しかし、部屋の一画では認められないので専用区画が必要になります(パーテーションやカーテンなどで区分) また、自宅兼事務室として申請する場合は、事務室と自宅のプライベート部分を明確に区分する必要があります。
【相談室】
相談者のプライバシー保護の観点から個室が望ましいが、パーテーションでの仕切りも可能です。
【静養室】
専用のベッドを設置した部屋が必要
【食堂・機能訓練室】
合計面積が1人あたり3㎡以上の広さであること。
※食事を行う場所と機能訓練を行う場所は兼用可。
【トイレ】
車椅子を使用できること。複数の設置が必要
【浴室】
サービスに入れる場合は設置が必要。
【その他】
送迎車、機能訓練器具、緊急呼び出しボタンの設置など。
また、建築基準法や消防法などの基準に適合しているか、都道府県の建築確認課や消防署で確認が必要。
要件4:運営基準をみたしていること
厚生労働省令に定める運営に関する基準に従って、適正な事業の運営ができることが必要です。
【主な運営基準】
☑ 通所介護計画が作成されていること。
☑ 従業員の勤務体制が明確に定められていること。
☑ 利用定員を超えるサービス提供を行わないこと。
☑ 利用申込者に対して、運営規程、職員の勤務体制、苦情処理体制、自己発生時又は緊急時の対応などについて文書を交付・説明し、同意を得た上でサービスを提供すること。
加算減算 (平成30年4月1日時点)
介護費用は「基本料」に「加算」や「減算」がされて、算出されます。
利用する時間帯や時間の延長によるもの、事業所の質や規模に関わるもの、緊急度によるものなど様々な加算や減算があります。
サービス提供体制強化加算
(Ⅰ)イ・・・1回につき18単位を加算
(Ⅰ)ロ・・・1回につき12単位を加算
(Ⅱ)1回につき6単位を加算
(Ⅰ)イ・・・介護職員の総数のうち、介護福祉士の割合が50%以上
(Ⅰ)ロ・・・介護職員の総数のうち、介護福祉士の割合が40%以上
(Ⅱ)サービスを直接提供する職員の総数のうち勤続年数3年以上の者の割合が30%以上
※ 支給限度額管理の対象外
介護職員処遇改善加算
(Ⅰ)所定単位数の5.9%を加算
(Ⅱ)所定単位数の4.3%を加算
(Ⅲ)所定単位数の2.3%を加算
(Ⅳ)(Ⅲ)の90/100を加算(別に厚労大臣が定める期日までの間)
(Ⅴ)(Ⅲ)の80/100を加算(別に厚労大臣が定める期日までの間)
所定単位数は、基本報酬に各種加算減算を加えた総単位数
※ 支給限度額管理の対象外
個別機能訓練加算
(Ⅰ)1日につき46単位を加算
(Ⅱ)1日につき56単位を加算
(Ⅰ)の要件
① 通所介護を行う時間帯を通じて、専ら常勤の機能訓練指導員である理学療法士、作業療法士または言語聴覚士、看護職員、柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師、一定の実務経験を有するはり師またはきゅう師(以下「理学療法士等」)を1人以上配置
② 個別機能訓練計画作成・実施において、利用者の自立支援・日常生活の充実に資するよう複数の項目を準備し、生活意欲を増進して心身状況に応じた機能訓練を適切に実施
③ 機能訓練指導員、看護職員、介護職員、生活相談員等(以下「機能訓練指導員等」)が共同して、利用者ごとに個別機能訓練計画を作成して機能訓練を実施
④ 機能訓練指導員等が利用者宅を訪問した上で個別機能訓練計画を作成し、その3月に1回以上、利用者宅を訪問し利用者または家族へ機能訓練内容と計画の進捗状況等を説明し、内容の見直し等を実施
(Ⅱ)の要件
① 専ら機能訓練指導員の職務に従事する理学療法士等を1人以上配置
② 機能訓練指導員等が共同して、生活機能向上を目的として利用者ごとに個別機能訓練計画を作成
③ 計画に基づき機能訓練の項目を準備し、理学療法士等が心身の状況に応じた機能訓練を適切に実施
生活機能向上連携加算
1月につき200単位を加算 ※ 個別機能訓練加算を算定している場合は1月につき100単位を加算
① 訪問または通所リハビリテーション事業所、もしくは医療提供施設(許可病床200床未満または半径400㎞以内に診療所が存在しないもの)の理学療法士、作業療法士、言語聴覚士または医師が当該通所介護事業所を訪問し、機能訓練指導員等と共同してアセスメント、利用者の心身の状況等の評価および個別機能訓練計画の作成を行う
② 個別機能訓練計画に基づき、利用者の身体機能または生活機能向上を目的とする機能訓練の項目を準備し、機能訓練指導員等が利用者の心身の状況に応じた機能訓練を適切に提供している
③ 機能訓練指導員等が理学療法士等と連携し、個別機能訓練計画の進捗状況等を3月ごとに1回以上評価し、利用者またはその家族に対して機能訓練の内容と個別機能訓練計画の進捗状況等を説明し、必要に応じて訓練内容の見直し等を行う
ADL維持等加算
(Ⅰ)1月につき3単位を加算
(Ⅱ)1月につき6単位を加算
評価対象期間(加算を算定する年度の初日の属する年の前年の1月から12月までの期間)の満了日の属する年度の次の年度内に限る。
(Ⅰ)の要件
① 利用者(当該事業所を連続6月以上利用し、評価対象利用期間に5時間以上の算定回数が5時間未満の算定回数を上回る者に限る)の総数が20人以上
② 利用者総数のうち評価対象利用期間の初月に要介護3~5の者が15%以上
③ 評価対象利用開始月に初回の要介護(要支援)認定の月から起算して12月以内の者が15%以下
④ 利用者総数のうち、評価対象利用開始月と当該月から起算して6月目に、機能訓練指導員がADLを評価し、その評価に基づく値(「ADL値」)を測定し、測定月ごとに厚労省に測定が提出されている者が90%以上
⑤ 評価対象利用開始月から起算して6月目に測定したADL値から利用開始月に測定したADL値を控除して得た値(「ADL利得」)が多い順に、提出者の総数の上記85%に相当する数(端数は切り上げ)の利用者について次のⅰからⅲの利用者の区分に応じ、ⅰ~ⅲに定める値を合計して得た値が0以上。
ⅰ ADL利得が0より大きい利用者:1
ⅱ ADL利得が0の利用者:0
ⅲ ADL利得が0未満の利用者:-1
(Ⅱ)の要件
① 上記(Ⅰ)①~⑤に適合
② 利用者について、算定月に利用者のADL値を測定し結果を厚労省に提出
中重度者ケア体制加算
1日につき45単位を加算
① 指定基準に規定する看護職員または介護職員数に加え、看護職員または介護職員を常勤換算で2人以上確保
② 前年度または算定月の前3月間の利用者総数のうち、要介護3以上の割合が30%以上
③ 専ら通所介護の提供いnあたる看護職員を1人以上配置
※ 共生型通所介護を算定している場合は算定しない
認知症加算
1日につき60単位を加算
① 指定基準に規定する看護職員または介護職員数に加え、看護職員または介護職員を常勤換算で2人以上確保
② 前年度または算定月の前3月間の利用者総数のうち、認知症の利用者の割合が20%以上
③ 専ら通所介護の提供にあたる認知症介護に係る研修の修了者を1人以上配置
※ 共生型通所介護を算定している場合は算定しない
若年性認知症利用者受入加算
1日につき60単位を加算
利用者ごとに個別の担当者を定めること。認知症加算を算定している場合は算定しない。
栄養改善加算
1回につき150単位を加算(3月以内・月2回を限度)
① 当該事業者の従業者として、または外部との連携により管理栄養士を1人以上配置
② 利用者の栄養状態を開始時に把握し、管理栄養士、看護職員、介護職員、生活相談員等が共同して、利用者ごとの摂食・嚥下機能および食形態にも配慮した栄養ケア計画を作成
③ 栄養ケア計画に従い管理栄養士等が栄養改善サービスを行うとともに、利用者の栄養状態を定期的に記録
④ 栄養ケア計画の進捗状況を定期的に評価
※ 開始から3月ごとの栄養状態評価の結果、低栄養状態が改善せず、引き続き行うことが必要な利用者は引き続き算定できる